自動車保険 不払い計294億円に 損保大手6社、追加報告

 自動車保険で損害保険大手の損保ジャパン日本興亜損害保険は二十七日、自動車保険などの保険金不払いについて最終調査結果を金融庁に報告し公表した。その結果、すでに公表している東京海上日動火災保険などを含めた大手六社の不払い件数は計三十八万件、支払われていなかった保険金の額は二百九十四億円を超えた。

 自動車保険の保険金不払いは、二〇〇五年二月に一部損保で発覚。金融庁は今回を含めて三回の調査を指示したが、調査のたびに件数、金額とも膨張している。

 今回は、昨年九月に公表された前回調査と比べ、六社合計の件数が五割、金額が八割増加。金融庁の指示がなければ、新たな不払いは放置されていた可能性が高く、膨大な不払いが判明した生保と同様、顧客の目線を置き去りにしていた体質があらためて浮き彫りになった。

 六社で最も件数が多いのは、あいおい損害保険の約十一万一千件。金額では、最大手の東京海上日動が約六十八億円と最多だった。この日発表した損保ジャパン、日本興亜とも、前回調査より件数が約六割増え、それぞれ約四万八千件、約六万二千件となった。

 この日、記者会見した損保ジャパンの佐藤正敏社長は、自動車保険の調査だけで三度にわたった理由を「何十年と続いた慣行に固執し、顧客の目線と合っていなかった」と反省し、再発防止に努める考えを強調した。

 昨年十一月に金融庁が命じた今回の調査は、複数の損保がかかわっているケースが中心。中堅や外資系を含めると、調査は六月末までかかる見通し。金融庁は調査結果などを考慮に入れて処分を検討する。



東京新聞 - 2007年4月27日